第23回 新しい憲法をつくる国民大会 平成4年5月3日

  
木村会長

自主憲法を制定して世界平和の維持活動に貢献せよ

自主憲法期成議員同盟会長
自主憲法制定国民会議会長
元運輸大臣・参議院議長

木村 睦男

 今日、この「憲法を改めて時代を刷新する国民大会」にあたり、大型連休の中日にもかかわらず、かくも大勢の方々が御参加下さり、しかも、学生さんやお若い方もたくさんお集まり下さったのを見まして、非常に心強く、この運動の正しさとその意義の大きさを強く感ずる次第であります。(拍手)
 さて、世界を二分した冷戦の一方の旗頭、共産主義ソ連が崩壊し、世界は大きな転換期に入りました。
 47年まえ、第二次世界大戦終結後しばらくは、戦勝国対敗戦国という世界秩序のパターンが続きましたが、現在はそれを乗り越え、国連中心の新しい世界平和秩序が構成され、国連による世界平和維持活動が今日ほど重要性を帯びて来た時はありません。
 ソ連の崩壊によって冷戦構造こそ消滅したものの、国際紛争の火種は随所に残っており、地球上の永久 平和は望むべくして望み得ないのが実情であります。
 このような国際状勢の下で、平和の恩恵を受けているわが国の政府は、積極的に国連中心の世界平和維持活動に協力する必要を認め、自衛隊による海外派遣の道を開くため、憲法改正によらず、憲法第九条の解釈を拡張することによって、派遣を可能にしようとしております。  およそ法の解釈ということになると幾通りもの解釈が可能の場合が多く、第九条の解釈についても、学者によって解釈が幾通りにも分かれております。これまで、自民党政権も野党もそれぞれに第九条を解釈し争ってきましたが、それは憲法軽視の悪習慣をつくる結果ともなり、極めて危険であるといわざるを得ません。こうした国論の分裂や民心の不安動揺を避けるためにも、解釈に頼るという姑息な手段によらず、この際思い切って憲法を改正して法文を明確にしておく必要があります。(拍手)
 そもそも日本国憲法は、占領時代敗戦国としてざんげと贖罪の証(あかし)として戦争の放棄や戦力の不保持、あるいは交戦権の否認など、主権を持たぬ被占領国の姿のままで、独立国になって40年以上も経った今日、自力で国を守ることもできず、そのために必要な憲法改正に手をつけようともしないで、果たして国の独立と安全を守ることができるというのか。その責任は一体誰がとるべきであろうか。こんな状態であるから憲法改正の必要を説けば、すぐ軍国主義国家の建設を企図しているなどと誤った議論が横行し、言論自由の世に憲法論議の口を封じようとしておることは、誠に憂慮に堪えないところであります。(「そうだ」のかけ声)
 今日わが国が、国際国家として世界平和の維持活動に協力するためには、時には汗も血も流さねばならない場合も想定しておかねばならない。そのような国家の大事に関することこそ憲法の中に規定すべきであって、憲法の一方的な解釈のみでその場を凌ぐような姑息なことを繰返していては、国際的な信用を失うことにもなり、将来に禍根を残すことを深く憂うるものであります。
 わが国が、国連に積極的に協力し、平和維持活動に参加するため、自衛隊の海外派遣が真に必要で止むを得ないものであれば、そのことを国民に訴え率直に憲法改正について理解を求める努力をすることこそ、政治家の責務でなければなりません。(拍手)
 経済や技術の面でも今や世界の有力先進国となったわが国が、国連による平和維持活動に十分な協力もできず、いつまでも責任回避とみられるような態度をとりつづけていては、国際的に名誉ある地位を得たくても、かえって国際社会の孤児になるのが落ちであります。
 30年来、自由民主党が自主憲法の制定を党の基本方針に掲げていることこそ、今日的な重要な意義があります。さればこそ、我々はこれに協力し広く国民の同意を得る努力をつづけて来ましたが、政府も自民党もこの期に及んでいまだ積極的に憲法改正に着手しようとする努力が見られないことは、極めて遺憾というほかはありません。
 戦後40年も経ずして、我々の英知と努力によりわが国が先進国の優等生に成長したのでありますから今こそ一国平和主義の殼を捨てて、この際広く国民の理解と協力を求め、独立国として今日にふさわしい憲法制定の努力を進めるべきであります。(拍手)
 憲法記念日にあたり、最近の国際情勢を考慮し、特に第九条に関連し多く述べましたが、元来、日本国憲法には、天皇の地位をはじめ、立法・司法・行政宗教・教育さらには国民の権利義務など、用語表現方法も含め問題があまりにも多く、わが国が21世紀に入るに当たり、時代を大いに刷新するためにも、憲法全体の見直しこそ、最も重要な課題であることを、ここに強く主張する所以であります。(拍手)
 この記念すべき日、会場には、来るべき21世紀にわが国の命運を背負って立つ若い人たちを多く見かけます。特に若い人たちに言いたいことは、国の内外に広く活眼を開き、一国平和主義から脱し、世界恒久平和構築のため、先進国国民としていかにあるべきか真剣に思索し行動することを、切に希望するものであります。(拍手)