第21回 新しい憲法をつくる国民大会 平成2年5月3日

  
木村会長

憲法改正こそ、世直し運動!

自主憲法期成議員同盟会長
自主憲法制定国民会議会長
元運輸大臣・参議院議長

木村 睦男


  一、民族固有の歴史、文化、伝統を無視した憲法

 本日ここに、日本国憲法施行43年目の記念すべき日を迎え、一言ご挨拶申し上げます。(盛大な拍手 起こる)
 昭和20年、昭和天皇のご英断により、わが国はポツダム宣言を受諾して、降伏をいたしましたが、そ の直後の混乱のさ中で、憲法改正に着手せざるを得なかったのであります。それは何故か。占領軍はわが 国を自由民主主義の平和国家に転換することを、重要な占領政策にしたからであります。即ち、戦前・戦時中を通じ、軍部の勢力が強大となり、彼らによるわが国の独裁的な政治支配を容易ならしめたのは、国 家統治の大権が天皇に集中している明治憲法にあり、との認識から、まず憲法を改正し、わが国を自由民 主主義国家に転換することが、最も重要な占領政策と考えたからであります。
 このような状況のもとで、占領軍最高司令官マッカーサー元帥は政府に対し、憲法改正を指示したので あります。憲法が一国の基本法である以上、その改正に際しては、国の独立と安全、国家国民の繁栄、さ らに民族固有の歴史、文化、伝統を憲法に反映するよう、広汎かつ深遠な配慮が必要であります。しかし、 このような配慮を占領軍に期待することは、極めて困難なことでありまして、日本側もこの点は涙を呑ん で諦めざるを得なかったわけであります。(共感の拍手)
 占領下とはいえ、日本国憲法は帝国議会の審議を経て成立を見たのであります。とは申せ、わが国を支 配する最高権力が、占領軍の掌中にある時の国会審議でありますから、占領軍に対し遠慮もあり、また、 さまざまな憶測もあって、自由かつ徹底した論議を期待することは、無理だったのでありまして、そのこ とは当時の議事録を見ても、十分察知出来るのであります。(場内しんとする)
 あれから既に40数年が過ぎ去った今日、今なお日本国憲法について、当然改正すべきであるとの主張 に対し、改正すべきでないという主張が対立し、恰も国論を二分するが如き状態が、いまだに続いている のであります。(拍手)
 申すまでもなく、憲法は重要な一国の基本法であります。憲法を中心にして、国民は一体であるという 連帯惑と、融和と協力の精神が生まれてこそ、はじめて憲法の憲法たる所以があるのであります。(そう だ!の声、拍手)かく考えます時、この現状はまことに遺憾というほかありません。(拍手)

  二、憲法全体の見直しこそ喫緊の急務

 さて、昨年11月、東西を二分していたベルリンの壁が、音を立てて崩れ去ったことは、今や自由民主 主義体制こそ、人類の自由と平和繁栄のために、最もふさわしい体制であることを証言したものと言うべきで、われわれは、この点に深く思いを致すべきでありましょう。(拍手)
 世界もわが国も、ここ四十有余年の間に、目まぐるしく変わって参りました。今日わが自衛隊の活動状 況や、世界の移り変わりを見ます時、憲法第九条をめぐり賛否の争いを繰り返している時代は、既に過ぎ 去ったというべきであります。われわれは、須らくこれを克服し、憲法全体を見直すため前進すべき時ではないでしょうか。(大拍手起こる)
 かつて憲法制定国会において、野党代表の議員がいみじくも喝破したように、泣き言と哀調に満ちた憲法の前文をはじめ、独立国日本の将来を展望いたします時、天皇の地位の明確化、立法、行政、教育、宗教、財政など各般にわたり、日本国憲法には多くの検討すべき問題があるにもかかわらず、今日まで全く手がつけられないまま、専ら第九条のみに賛否の議論が集中していることは、極めて遺憾でありまして、世界の主要国は同じ戦後45年の間に、西ドイツは35回、スイスは53回、ソ連もまた53回、判例を重視するアメリカでさえ、5回も自国の憲法を改正しておるのであります。(拍手)
 憲法改正こそは、国を若返らせ、民心を一新して大いに時代を刷新する、「世直し運動」でもあります。  (拍手)今の10年は、昔の50年、いや百年にも匹敵すると言われるように、世界は大きく、かつ激しく変わりつつあります。わが国の政治も、また旧態依然のままであってはなりません。(その通りの声! 盛んな拍手起こる)

  三、時代に即応した新しい憲法を!

 政治改革こそ、まさに喫緊の急務であります。世界の平和と繁栄に、そして人類の幸せに大きくかかわりを持つに至ったわが国の政治が、世界に貢献し得るためには、旧来の陋習を打破し、大いに改革されなければなりません。そのためには、今や政治の基盤である日本国憲法が、名実共に時代に即応し、時代を刷新し得るよう、装いを新たにする時が来たのであります。(拍手)過去43年間、わが国の憲法が一回も改正されていない現実こそ、「いまだ戦後は終わらない」という嘆きでなくて何でありましょうか。(拍手)われわれは、大いに国民世論を喚起し、自主憲法制定に向かって努力邁進することを誓うものであります。(大拍手)
 最後に、本日の大会に青年学生諸君が多数参加されていることは、最も力強く、喜ばしく感ずるもので あります。今秋は即位式が挙行されますし、今や平成の新時代に入りました。来るべき21世紀の日本は、まさに若い諸君の双肩にかかっておるのであります。諸君こそ国を愛する精神のもと、正しい国際感覚を身につけ、広い視野と深い洞察力を養い、時代を先取りして、よりよき憲法をつくるため研鑽を積まれ、われわれの期待に応えられるよう、心から希望してやみません。(盛大な拍手)
 以上、所懐の一端を述べ、ご挨拶といたします。(拍手続く)